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#ナゼキニ ブログ筆者の猫目宝石 (id:nazekini)と申します。
2022年、令和4年の今年は松本清張没後30年だそうで↓
松本清張原作とうたった映像化作品を多数観るチャンスがありましたので、この機会に未読の原作本と合わせて楽しもうと、
私も清張沼にハマってみる?キャンペーン(キャンペーン?)
を始めました。
今回は『霧の旗』について。
よろしくお願い致します。
『霧の旗』とは
『霧の旗』とは、1959年=昭和34年婦人公論に連載されたリーガルサスペンス。
単行本化は1961年=昭和36年。
1965年=昭和40年と、1977年=昭和52年に映画化、1967年、69年、72年、83年、91年=平成3年、97年、2003年、2010年、2014年にドラマ化されています。9回も!
画像は2010年市川海老蔵(現團十郎)主演時のドラマDVD↓
『霧の旗』あらすじ
九州の強盗殺人事件で、容疑者として逮捕されてしまった兄を救うため、柳田桐子は東京の高名な弁護士である大塚欽三を訪ねます。
時は昭和30年代。
地方と都会では収入などに格差が生じ、桐子にとっては一日上京するだけでも一大決心であり、しかし、時には無償で弁護をし庶民の、正義の味方であるという大塚弁護士であれば兄の弁護を引き受けてくれるであろうという思いで弁護士事務所に向かったのですが、九州にも優秀な弁護士はいるであろう、現在多忙を極める大塚弁護士はとても桐子の兄を弁護する時間の余裕もないし、また、もし引き受けたとしても費用は高額になる、それを払えるのか?と、桐子を追うように帰してしまいます。
諦めきれない桐子は、もう一度会って欲しいと何度も事務所に電話を入れましたが、結局大塚弁護士とは会えず、兄は控訴中に獄死してしまいます。
数年後、ホステスとして働く桐子が東京にいました。
そこで殺人事件に巻き込まれた桐子は、その事件の容疑者が大塚弁護士の愛人、河野径子であることを知ります。
径子の無罪を証明するため、現場で径子に会ったことを証言してほしいと桐子のもとを訪ねてくる大塚弁護士。兄の事での逆恨みと思いつつ、それでも桐子の良心に訴えようと桐子のもとに通いつめ、独自で調べた桐子の兄の事件も冤罪であり、真犯人もわかると、必死の説得を続ける大塚弁護士でしたが━
1965年の映画版では、柳田桐子役を倍賞千恵子、1977年版では山口百恵が演じてらっしゃいます↓
山口百恵主演の1977年映画版「霧の旗」をWOWOWで放送されているのを偶然みかけまして。
チャンネルを合わせた時にはすでに物語終盤だったのですが、面白いなと感じ。
その後、倍賞千恵子バージョンを観るチャンスがありまして、これがまたかなり面白かった!(いや、笑う作品ではありませんが)
発表当時はかなり斬新だったのではないかと想像しました。
『霧の旗』感想
映画作品視聴後、2014年のドラマ版を観てから原作を読み始めたのですが、なかなか読み進めることが出来ず、2,3行読むと寝てしまっていたという💦
この作品は柳田桐子の逆恨みからくる仕返しで、モヤモヤした気持ちのまま物語が終了するという、イヤミスの部類。
私はイヤミスは嫌いなので、それで何度も寝落ちしてしまったのではないかと自己分析いたしております。
私が観た中で、2014年ドラマ版は獄死したのが桐子の兄ではなく、弟に設定が変えられていたのと、真犯人が逮捕される点が原作とは違っていました。
私が面白いなと感じたのは、桐子が兄の冤罪を晴らすことよりも、また、真犯人が誰かということにもうすうす気づいていたのに、大塚弁護士への復讐を完遂するところでした。
冷静に考えると桐子は狂気じみていますが、本人が淡々としていて、しかも口にするのは一見まともなこと━決して激情に駆られて暴言を吐いたりしない━なので、読者も途中まで桐子に同情的な目を向けるのではないかと思います。
作品中に雑誌記者の阿部啓一という人物が登場しますが、まさにこの人物が桐子に同情する読者や視聴者の立場の人物。
阿部は偶然聞きかじった桐子と大塚弁護士事務所との電話のやりとりから桐子に興味を持ち、事件について調べるうちに桐子への同情が好意に変わっていく中で桐子の復讐心に気づき、桐子を止めようとします。
しかし桐子の心は揺らぎません。己の正義を貫くのみ━この辺りが、悪女というよりサイコパス。
映像作品では面白いと感じましたが、演じられた俳優さんの魅力によるところが大だったのでしょう。
小説『霧の旗』は、映像化作品を観ていなかったら最後まで読む気にはなれなかったかもしれません。
※以上全て敬称略
最後までお読みいただき、
ありがとうございました♪
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