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ミステリ好き、「ナゼキニ」ブログ筆者の猫目宝石@nazekiniと申します。
2021年7月に連続ドラマW枠で放送が始まりました「黒鳥の湖」
原作本があると知って早速読みましたのでその感想を。
よろしくお願い致します。
ドラマ「黒鳥の湖」とは
ドラマ「黒鳥の湖」とは、2021年7月24日からWOWOW「連続ドラマW」枠で放送開始されたドラマ作品。
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— WOWOWオリジナルドラマ (@drama_wowow) 2021年7月24日
📣いよいよ今夜10:00❗️
第一話無料放送📺✨
\#藤木直人 主演の“因果応報ミステリー”❗️
女性拉致事件と過去の罪が交錯するストーリーに目が離せない💥
『#連続ドラマW #黒鳥の湖』
キャスト会見動画公開中🎥⇒https://t.co/7Dqs9DERId#WOWOW #吉瀬美智子 #三宅健 #財前直見 pic.twitter.com/t8wXzHdqy7
宇佐美まことによる、2019年12月に祥伝社から刊行された同名ミステリ小説を原作としているそうです↓
ドラマ「黒鳥の湖」あらすじとキャスト
何もかもが似すぎている…。女性が拉致され、持ち物が次から次へと家族のもとに送られてくるという事件が発生する。ザイゼンコーポレーションの社長、財前彰太(藤木直人)は興信所の調査員をしていた18年前に、谷岡(酒向芳)という男性から、ある事件の調査を依頼された過去があった。それは、娘が拉致されワンピースの切れ端、剥がされた爪が送られてきたという不気味な事件だった。
そして現在。酷似した事件に動揺する彰太。美しい妻の由布子(吉瀬美智子)との今の生活があるのは、彰太がその事件を利用して大きな”細工”をしたからだった。そして、事件の真犯人は逮捕されていない。そんな中、彰太の愛娘が行方不明になり彼女の持ち物が送られてくる。由布子は不安と誰にも言えない秘密を抱え、救いを求めてある寺の住職の妻・大黒(財前直見)とその息子若院(三宅健)のもとに通い始め…。
すべては18年前の過去の報いなのか、歯車が狂い始めていく━━。
キャストは他に、ザイゼンコーポレーションの専務、田部井克則役に板尾創路、主人公彰太が18年前に勤めていた興信所のかつての上司で、現在はビジネススクールの学長をしている八木之典役に杉本哲太、彰太の伯父でザイゼンコーポレーションの前身出島時計店社長出島文雄役に宅麻伸、出島時計店時代からの従業員権田役に大澄賢也、谷岡の長男の妻、谷岡比佐子役に中島ひろ子、劇中での現在に起きている女性誘拐事件を捜査する岸本刑事役に飯田基祐がご出演されています。
私としては、
「財前さんがザイゼンさんと話すのか」
とツッコミを入れたくなるのですが、ご本人様方はややこしくはないのでしょうか(余計な心配)
ドラマ「黒鳥の湖」原作との違い
ドラマ「黒鳥の湖」は第2話までが放送されました。
ドラマは全5回 ということなので、約三分の一が過ぎたところという感じでしょうか、これまでの原作小説との相違点を書いておきます。
ドラマでは、主人公財前彰太の娘”美華”がバレエを踊っているシーンから始まりますが、原作『黒鳥の湖』では、1人暮らしの男性の家に泥棒に入った、若い男女2人組の話から始まります。
ところがこのお話は、泥棒である若い男女が、住人に見つかってしまい逃げようとして━というところで終わり、”第一章 何もかもが似すぎている”女性誘拐事件のニュースの場面へと切り替わります。
ネタバレですが、小説『黒鳥の湖』の冒頭部分は最後の最後に回収される伏線です。
しかし、私の率直な感想として、この部分は無くても物語は成立したかなと思うので、ドラマでは端折られている可能性が高いです。
と言ってもまだ2回しか放送されていないので今後出てくるかも(笑)
そしてこれもまた断言するのはどうかとも思いますが、登場人物田部井と八木は、原作では双子の設定です。ドラマでは板尾創路と杉本哲太、ぱっと見双子とは思えませんが━。
ドラマ「黒鳥の湖」では、連続女性誘拐犯の呼び名が”漆黒の切り裂き魔”となっていますが、原作では”肌身フェチの殺人者”となっています。
実は私、コレ読めないというか、どう発音するのかイメージが掴めず。
「肌身」はハダミとしか読み方を知らないので、そうなると「ハダミフェチのさつじんしゃ」という読みになるのかなと思いましたが、なんかリズムがよくないというか、語呂が悪いというか(どっちも同じ)、覚えにくくて💦
ルビもないので、そもそも「ハダミフェチ」という読み方そのものが間違っている可能性も無きにしも非ず(笑)
また、ドラマ「黒鳥の湖」では岸本という刑事さんが出てきますが、原作にはないキャラクターです。原作の方にも刑事さんは出てきますが、お名前が違いますし、恐らくドラマの岸本刑事はドラマオリジナルキャラクターではないかと推測します。
そして、原作との相違点で私の中での一番の大きな謎がこれ↓
ドラマ「黒鳥の湖」でザイゼンコーポレーションの前身である会社の名前が違うのは、ナ~ゼ~?
原作ではわかりやすく、”財前貴金属店”なんですが、ドラマではナゼか”出島時計店”となっているのです。
そういえば原作では”彰太の伯父、文雄”と書かれていたから、伯父と甥とはいえ同じ苗字ではなかったのかもしれないと考えられなくもない(ややこしい上に可能性としてはかなり低いw)
「文雄と彰太は親子ではない」ということを印象付けるため(それにしても原作ではそこまで重要なポイントではない)に変えたのかなあ?と、いまのところドラマ最大の謎です←そこじゃあない。
黒鳥の湖について(ちょっと余談)
まず、「黒鳥の湖」と聞いて、
「どこかで聞いたような、なつかしいような?」
と思ったのですが、この記事を書くにあたり、懐かしさの正体が判明。
十代の頃に知った、新宿のお店(ショーパブ)↓のお名前でした。
とはいえ、一般的に「黒鳥の湖」という言葉から連想されるのはこちら↓ではないでしょうか?バレエ「白鳥の湖」有名な32回転は動画21分20秒あたりからはじまります。
ところがどっこい、ドラマ「黒鳥の湖」も原作小説『黒鳥の湖』もバレエのお話ではないんです。それどころか、バレエの話はほとんど出てきません(笑)
主人公の娘が長年習っていたとしてバレエの話が少し出て、その娘が「白鳥の湖」の”オディール”役を踊ったのを最後にバレエを辞めた、というエピソードがある程度です。
バレエ「白鳥の湖」について少し補足すると、魔法で白鳥に変えられてしまった”オデット”姫に愛を誓った王子を、悪魔が娘”オディール”に誘惑させるのですが、この時の”オディール”のお衣装が黒なので、”黒鳥”のイメージということみたいですね。あと映画「ブラック・スワン」とか↓
ちなみに、本来は”オデット”役のダンサーさんが”オディール”も演じます(つまり一人二役)が、ドラマ&小説「黒鳥の湖」の場合、バレエ教室の発表会とのことで、一人でも多く舞台に出るためにオデット役とオディール役が別々の配役になったのではないかと推測されます。
小説『黒鳥の湖』ネタバレ感想
私、バレエにはちょっとだけ興味がございまして、ドラマ「黒鳥の湖」はバレエ絡みのお話なのかなと少なからず期待しておりましたので、ドラマの第1回目を拝見して、ほとんど関係がないとわかると正直ガッカリ致しました(笑)
しかも、劇中で起こる事件の手口がなんとなく古臭い。
それで、これは原作ありかな、だいぶ前の作品なんだろうなと勝手に思っておりました。
と、いうのも。
最近WOWOWで放送された「さまよう刃」の原作小説は2004年、テレビ東京系列ですが話題になった「リカ」も原作は2002年の作品と、15年以上前に出版された小説を原作としたドラマがあったので、「黒鳥の湖」もそれくらい前の作品なんだろうなと。
ところが、原作『黒鳥の湖』は2019年に刊行された、比較的新しい作品でした。
「え、こんなに最近の本なの?」
と意外に感じたところから読み始めた原作『黒鳥の湖』でしたが、最後まで読めば納得、すべての伏線が綺麗に回収されていくので、原作者さんの宇佐美まことは親切な書き手さんだなあと感じました。
読み手にやさしいサービス精神にあふれたエンターテインメント小説という感想。
一つヒントが出てくればスルスルと謎が解け、思った通りに物語が進む━きれ~いにパズルのピースが埋まっていく感じ。
原作本はまあまあブ厚い本ですが、半日ほどで読み終わり、読後の達成感がありましたよ。
原作を読んでみると、劇中の事件の手口が古臭い理由も心底納得。
劇中の事件の犯人の手口は、女性を拉致し、持ち物や身につけていたものなどを家族のもとへ次々と送るというもの。
この手口は一昔前にすでに海外ドラマで観ていた記憶があり、それで私としては古臭い手口だなと感じたワケです。
ドラマでも第1回で回想シーンが出てきましたが、主人公が18年前に聞かされた話と同じ犯行の手口ということなンですね。
ここからネタバレ。
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主人公彰太が聞かされた話は、劇中の現在起こっている連続女性誘拐殺人事件と酷似していました。
18年前、谷岡は自分の娘”奈苗”が誘拐されてひどい目に合わされたから犯人を捜してほしいと彰太に依頼、彰太はその谷岡の激しい復讐心を利用するため、伯父を誘拐犯に仕立て上げ、偽の情報を谷岡に流したのでした。
そして、彰太の思惑通り伯父は亡き者にされ、その財産を受け継ぐことに成功。
しかしその結果18年前の真犯人を泳がせることになってしまった、そして現在同じような事件が起こり、彰太は自責の念にかられる━というのが物語の導入部分、なかなかドラマチックで引き込まれる展開でした。
自責の念にかられた彰太は伯父を殺害して逃げているはずの谷岡を探しますが、谷岡は伯父が殺害されたころには亡くなっていたこと、さらに谷岡には娘はいなかったという事実にたどり着きます。
谷岡が自分の娘として話した奈苗という人物は、谷岡のところに来ていた家政婦”清水皐月”が以前働いていた家の娘でした。
清水皐月は、様々な家で家政婦の経験があり、献身的に家族に寄り添う人物として有名でした。そしてその行き過ぎた同情は、不正や道理に合わないことをしたとみなしたものに罰を与える行為へと繋がっていきました。
奈苗の件もそのうちの一つで、清水皐月にそそのかされた谷岡が彰太のもとへ犯人捜しの依頼に来た、その際、調査員を動かすために起こった出来事を大袈裟に膨らませるために、当時谷岡が編集していた同人誌に寄せられた小説に描かれていたことを、あたかも事実のように彰太に語った━つまり、18年前には”肌身フェチの殺人者”は実在していなかったことがわかります。
結局奈苗の事件は、お金欲しさにおかしな男にフラフラと付いて行った奈苗が、男を怒らせて監禁されたものの自力で逃げてきた、というのが真相でした。
しかし、劇中の現在では”肌身フェチの殺人者”は実在し、被害者が数人出ている━
”肌身フェチの殺人者”とはいったい誰なのか?
考えられるのは、同じ手口を小説に描いた本人ということになります。
ドラマをご覧の方々には予想通りなのではないかと、勝手に思っておりますが原作『黒鳥の湖』での”肌身フェチの殺人者”は若院です。
ドラマはね~配役だけで誰が犯人か大体わかっちゃうシステムだから(システム?)
なので、当然私も原作本を読む前から犯人のアタリはついていたという(笑)
しかし、原作小説の魅力というか、見どころ、じゃない、読みどころ?はその動機の描き方でしたね~。
原作最終章”黒はあらゆる色が重なり合った色である”に表されていますが、谷岡の脚色、清水皐月の存在、そして主人公彰太の谷岡の依頼を利用したという後ろめたさ、加えて彰太の妻由布子の過去━
全部がこれでもかというくらい重なっていますよ。
さて、主人公財前彰太の娘美華も”肌身フェチの殺人者”に拉致されたものとして、またそれっぽい描写が盛り込まれて物語は進んでいきますが、これが狂言。
美華は全く関係のないところで無事に暮らしていました。ホッとするポイントです。
そしてその狂言は、彰太の妻由布子が、大黒様に”警察を動かすために”とそそのかされて行ったものでした。
そう、大黒様が清水皐月というオチです(オチ?)。
シングルマザーだった清水皐月は我が子そっちのけで(自分ではそのつもりなく)他人のお世話をしていたワケで、しかもその様は異様で、若院には母親は化け物にすら見えていたんですね(それが被害女性に化け物じみたメイクを施すという行為に出ている)。半面、さみしさ募ってその欲求不満を小説にぶつけ、ついには実行してしまった、と。
しかしながらこの物語にはもっと悪い、ズルい奴らが存在するのデス。
それが、田部井と八木。
双子の設定が生かされたエピソードがありますが、ドラマでは時間的な都合で割愛されるかなと私は踏んでおります。そう思うと、ドラマの田部井と八木がぱっと見別人のキャストであることにも納得いくというか。
18年前、興信所にいた八木のもとに、結婚を控えた由布子の身上調査の依頼があり、調査の中で八木は由布子の秘密を知り、それをネタに関係を強要、しかし子供が出来たとわかると子供ごと彰太に押し付けようと画策したのです。
そこへ、谷岡の依頼を受けた彰太の話を聞き、彰太が「自分で」谷岡の依頼を利用するように仕組んでいった━田部井とグルになって。
しかし、実際には財前貴金属店の財産を狙った田部井と八木が巧みに仕組んだ計画に、知らずに乗せられていた、というオチ(オチ再び)
ところがここでさらなる衝撃の事実、なんと彰太は子供の出来ない体質だったのです。
でもって、いろいろあって娘美華が父親が彰太でないことを知って家出したことと、”肌身フェチの殺人者”の事件の時期が重なったこと、彰太の過去の負い目と大黒様=清水皐月の偏った正義感がこれまた重なって由布子による美華誘拐の狂言へと繋がった、と。
こんだけ重なれば真っ黒になるわね。
全ての事に理由があって気持ちが好いくらいでした(笑)
さらに原作本冒頭部分に登場した若い男女の行く末?現在が描かれてTHE伏線ALL回収系。
私としては由布子の過去にはちょーっと腑に落ちない部分もありましたが、これだけ全部つながったからまあいっか、と(笑)
文章もとても読みやすく、気分転換にはもってこいの作品でした。
ちなみになんの気分転換だったかと言うと、愛猫がまたちょっと体調崩してしまった時でして、変に心配したりしないように気分転換をはかろうと読書にいそしんだワケです。
愛猫は今日もニャーと鳴き、ごはんをたべ、お昼寝をしてくれています🐈
※以上全て敬称略
最後までお読みいただき、
ありがとうございます🍀
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