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先日、WOWOWで「罪の声」を観まして、こちらも原作本と、その原作本の参考文献のひとつとして挙がっていたNHKスペシャル「未解決事件」を観ましたので、併せて感想を書きます。
よろしくお願い致します。
- 「罪の声」とは
- 「罪の声」あらすじとキャスト
- 「罪の声」で思い出した「ペルソナの微笑」とグリコ・森永事件
- 小説『罪の声』ネタバレ感想
- 映画「罪の声」感想
- NHKスペシャル「未解決事件File.01グリコ・森永事件」感想
「罪の声」とは
「罪の声」とは、2020年10月に公開された映画作品↓
2016年に講談社から発表された、塩田武士(しおたたけし)によるサスペンス小説『罪の声』を原作としています↓
「罪の声」あらすじとキャスト
35年前、日本中を巻き込み震撼させた驚愕の大事件。食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件は、誘拐や身代金要求、そして毒物混入など数々の犯罪を繰り返す凶悪さと同時に、警察やマスコミまでも挑発し、世間の関心を引き続けた挙句に忽然と姿を消した謎の犯人グループによる、日本の犯罪史上類を見ない劇場型犯罪だった。
大日新聞記者の阿久津英士(小栗旬おぐりしゅん)は、既に時効となっているこの未解決事件を追う特別企画班に選ばれ、取材を重ねる毎日を過ごしていた。 一方、京都でテーラーを営む曽根俊也(星野源ほしのげん)は、家族3人で幸せに暮らしていたが、ある日、父の遺品の中に古いカセットテープを見つける。「俺の声だ―」
それは、あの未解決の大事件で犯人グループが身代金の受け渡しに使用した脅迫テープと全く同じ声だった!
やがて運命に導かれるように2人は出会い、ある大きな決断へと向かう。
「正義」とは何か?「罪」とは何か?
事件の深淵に潜む真実を追う新聞記者の阿久津と、脅迫テープに声を使用され、知らないうちに事件に関わってしまった俊也を含む3人の子どもたち。
昭和・平成が幕を閉じ新時代が始まろうとしている今、35年の時を経て、それぞれの人生が激しく交錯し、衝撃の真相が明らかになる ――
公式サイトhttps://tsuminokoe.jp/story.htmlより引用
主演の小栗旬と星野源↓ってお顔があまり見えませんがw
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こちらの方がお顔がわかりますかね、動画ですが↓
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キャストは他に、2020年夏ドラマ「MIU404」(ミュウよんまるよん)でも星野源と共演していた橋本じゅん↓
画像引用元https://enchante-de.com/profile/jun_hashimoto/
新聞社側(側?)に松重豊(まつしげゆたか)、古舘寛治(ふるたちかんじ)
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画像引用元https://ku-inc.tokyo/artist/artist_01.html
35年前の事件当時側(側??)に阿部亮平(あべりょうへい)
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宇崎竜童(うざきりゅうどう)↓まさかの文字だけって!
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別の作品ですが、「罪の声」に近いあたりのご本人様画像↓
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他に、梶芽衣子(かじめいこ)、市川実日子(いちかわみかこ)、塩見三省(しおみさんせい)などなどがご出演。
個人的には佐藤蛾次郎(さとうがじろう)が画面に登場されたのが衝撃的過ぎて、何の役だったかを覚えておりません💦
なので、もう一度観てみようかと思っております↓WOWOWにて9月、10月にも放送予定です。(※放送は終了しました)
「罪の声」で思い出した「ペルソナの微笑」とグリコ・森永事件
私が「罪の声」の事を知ったのは、日経新聞に載っていた広告だったと思います。
確か、星野源のお顔があったと思うので、映画化をうたう書籍の宣伝だったんじゃあないかと。
その時に、”子供の声が犯罪に使われた”という内容の文章を読んで、思い出したのが「ペルソナの微笑」。
横山秀夫サスペンスとして放送されたドラマなのですが、「ペルソナの微笑」でも主要登場人物が子供の頃に、そうとは知らず声を録音されて犯罪に使われてしまった、という事が描かれていました。
「ペルソナの微笑」収録の原作本『第三の時効』↓
ちなみに、「ペルソナの微笑」は、『罪の声』のモチーフとなったグリコ・森永事件とは全く別のお話です。
『罪の声』のモチーフとなったグリコ・森永事件ですが、事件発生当時の昭和59年=1984年には高校生活を送っていた私、正直なところ事件そのものは覚えていましたが、子供の声が脅迫電話に使われていたことは
「言われてみればそうだったかなあ?」
程度の記憶でした💦
私は学生時代は、自分で菓子を買うことなんぞ遠足前以外にはほとんどなく、また、”青酸入り”と言えば青酸コーラ(電話ボックスなどに一見未開栓と思わせる青酸を混入したコカ・コーラを置き、それを拾得・飲んだ方々が犠牲となった未解決事件)の方が印象深く、”どくいり”菓子の被害者がいなかったことからも、それほどの重大事件と言う意識がなかったんですね。
しかし、三億円事件同様、巻き込まれた人々の中には自殺者もいたことを今回知りまして、忘れかけていたことも併せて胸が痛みました。
三億円事件についてはこちらの記事↓
グリコ・森永事件、概要は1984年にグリコの社長が誘拐された事件を皮切りに、「かい人21面相」を名乗る犯人が大手食品会社を次々と脅迫した事件。全国各地の小売店店頭に”どくいりきけん”などと書いた青酸入り菓子を置くなど、日本中を騒がせた愉快犯であり、日本初の劇場型犯罪ともいわれている未解決事件です。
先述した通り、不幸中の幸いで青酸入り菓子による被害者は出なかったものの、標的となったグリコ・森永の菓子は店頭から撤去、今では当たり前となった食品の「フィルム包装」もこの事件をきっかけにはじまった?ひろまった?という影響の大きい物でした。
また、脅迫内容は多額の現金要求でしたが、現金の引き渡し場所に犯人が一度も現れなかったことや、企業側も犯人への支払いを否定していることから、現金も盗られていないようで、犯人の目的も謎という事件です。
犯人(の一人)とされる”キツネ目の男”の似顔絵は有名↓ご覧になられたことのある方も多いと思います。この本、”いなかった”って書いてあるけど💦
原作、映画作品ともグリコをギンガ、森永を萬堂、丸大を又市、ハウスをホープ、不二家を鳩屋、駿河屋を摂津屋としていて、「グリコ・森永事件」は”ギン萬事件”と呼ばれている設定となっています。
しかしながら、犯人が江崎グリコ社長誘拐事件の参考にしたとされるハイネケン誘拐事件はそのまま”ハイネケン誘拐事件”です。ナゼ?
ちなみにハイネケン誘拐事件をモチーフにした映画「ハイネケン 誘拐の代償」という作品もあるので、観てみたいと思っています↓
そして、なんとハイネケン誘拐事件の犯人の実妹に当たる方が、犯人について書いたノンフィクション『裏切り者』も出版されています↓こちらも読みたい。
小説『罪の声』ネタバレ感想
『罪の声』は先述した”グリコ・森永事件”をモチーフに描かれたフィクションなのですが、事件に関してはほぼ事実が描かれているので、どこまでがフィクションなんだろう、どこまで真に迫っているんだろうという気持ちを抱かせる作品でした。
しかし、主人公の一人である”曽根俊也”が古いカセットテープを聞いて”幼くても自分の声だとわかる”という一文には
「そーかなー?」
と思ったのが正直な感想。
物語とはあまり関係ないし捻くれた見方かもしれませんが、意外と録音した自分の声を聞くと違和感を覚えるよね~と。
よほど自分の声を聞きこんでいないとすぐに自分の声とはピンときにくいんじゃあないかと思ってしまった次第。まして男性が変声前の声を聞いて、すぐに自分の声とわかるものかなあという疑問を持ってしまいました💦
とはいえ、ここで自分の声だという衝撃を受けないと話が進まないので、俊也は録音された時の出来事を覚えていて、声そのものにピンときたというよりは、その時のことを思い出して自分の声とわかった、ということなのかも……。
と思うことに致しました(なんだそれ)
『罪の声』は、作者である塩田武士が、子供の声が脅迫電話に使われたことに着想を得た物語だそうです。
ご自身と同年代の子供の声が使われたことに衝撃を受けられ、その子供たちはどういう人生を送ったのだろうか━ということで物語は声を犯行声明に使われた子供たちに焦点を当てています。
ネタバレですが、主人公俊也以外の2人の子供たちのその後の人生は悲惨なものでした。
俊也以外の子供たちは姉弟で、父親が事件に関わっていた設定。その父親は暴力団に亡き者にされてしまい、母と姉弟はその暴力団に軟禁状態にされ、姉の方は早々に死亡、弟は成長してから逃げ出せたものの、潜伏する生活を余儀なくされ、保険証もなく病院にもかかれない、と。
俊也と阿久津が会った時の彼の言葉━
「せめて一言、目が見えているうちに、(置いてきた)お母ちゃんに謝りたいです」
発想はスゴイけどフィクションとはいえこんなヒドイ悲しい辛い話にするなんて、とどんより。
『罪の声』の中では真相が究明され、犯人逮捕まであと一歩というところまで漕ぎつけますが、それまでに描かれていることがあまりに悲しいので全然達成感が得られない。フィクションだからこそスッキリ解決してほしかった(笑)
ただ、こういう描かれ方の方が、事件に憤りを感じますし、解決してほしいと思うので、社会を動かすきっかけになるだろうと思いました。韓国の作品ドラマ「ボイス」や映画「殺人の追憶」のように↓
グリコ・森永事件について知りたかったら、この本一冊読めばOKというくらい、網羅されています。
それだけに、突然(のような印象を受ける)風景描写との嚙み合わせがよくないというか……。イギリスの景色とか、丁寧に描写されているのですが、そんなことより早く先が知りたいという気持ちから飛ばし読みしてしまったことも書いておきます。作者さん、ごめんなさい。
フォローというのではありませんが、犯行目的として株価操作(企業の評判を落として株価を下落させることによって、巨額の利益をうみだそうというもの)が描かれた点が面白いと思いました。実際、そういう説もあったそうです。
それと、主犯格の犯行動機に繋がる出来事として、学生運動があったという点にも興味を惹かれました。というのも、三億円事件も学生運動と結び付けられることが多いからです。
学生運動とは学生による社会運動(ざっくりいうと社会をより良くしようという集団による活動)のことですが、1960年代後半から70年代にかけては暴力行為がエスカレート、仲間内での殺人にまで及んでいたこともあり、私には運動というよりは暴動のイメージ。
『罪の声』も、三億円事件をモチーフとしたいくつかの作品にも、暴動に巻き込まれた、犠牲になった身内がいて、その恨みも犯行動機に絡んでいるという描き方をされています。
あ、フォローその2(その2?)
俊也と阿久津の尽力もあり、『罪の声』エピローグは母と息子の対面が叶います。ちょっとだけ「よかった」と思えたポイントです。
映画「罪の声」感想
映画を先に観てから原作本を読んだワケですが、印象は変わらず、ほぼ原作通りに映像化されていたんだなあと思いました。
ただ、原作では新聞記者阿久津と俊也が出会うのは後半になってから。映画では最初から協力的な雰囲気でしたが、原作では違っていました。
観終わった後に、あれ?これドラマWだったかな?というような、映画というよりはドラマを観たような感覚があり。
監督と脚本家さんのお名前を見ると、”逃げ恥”の愛称で社会現象にもなったドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の土井裕泰(どいのぶひろ)と野木亜紀子(のぎあきこ)コンビでした。道理でドラマ感が💡
「逃げ恥」についても書いています↓
映画作品というのは、うまく表現できませんが、俯瞰的というか、なんとなく観る側を突き放すような距離感を感じたりする私、ところが映画『罪の声』にはそれを感じなかったなと。不思議な親近感というか、身近な印象というか。
原作とほぼ同じ内容であるにもかかわらず、映画を観た後、それほどどんよりとした気持ちにならなかったのは、土井裕泰・野木亜紀子マジック?
これ、順番が逆だったら━原作を先に読んでいたら、映画を観ようとは思わなかったかも。映画の印象がよかったから原作を読みたくなったのだと思います。
「罪の声」DVD、Blu-ray出ています↓
NHKスペシャル「未解決事件File.01グリコ・森永事件」感想
不思議な偶然なのですが、『罪の声』読了後にNHKスペシャル「未解決事件」の「グリコ・森永事件」版が放送されることを知り、録画、視聴いたしました。
事件発生から27年後の2011年=平成23年に放送された番組で、グリコ・森永事件が時効を迎える2000年=平成12年から始まる再現ドラマと、実際に捜査に関わった方々のお話から成るもので構成された番組でした。
先に映画と原作を拝見していたので、その裏付けみたいになってしまいましたが(笑)実際は逆なんですよね、NHKスペシャルもご参考のひとつにされて書かれたのが『罪の声』
驚くくらい小説に書かれていることがそのまま出てきて(だから逆w)、これは『罪の声』はかなり真相に迫っているのではと期待しました。
が。
やはり『罪の声』はフィクションなんだなあと実感したのが、犯行声明に使われた子供の声に関して、録音を分析し、年齢が14,5歳、中学生くらいの女子と、二人の小学校低学年男子の声であることが判明した、というところまでの情報しかなかったこと。
逆に言えば、情報が少ないから物語を膨らませることが出来たんだろうなという思いです。それにフィクションとわかった方がちょっと安心しますしね。勝手なもんですが💦
まあでもこの番組を観て、ますます『罪の声』に書かれていることの凄さを思い知りましたね。くどいようですが、グリコ・森永事件についてはこの一冊を読めば全てわかるという作品だと思います。
NHKスペシャル「未解決事件File.01グリコ・森永事件」のDVDも出ているようです↓
【2021年9月4日】
※以上全て敬称略
最後までお読みいただき、
ありがとうございます🍀
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