当ブログをご覧戴き有難う存じます✨
筆者の小幡リアンと申します。
2022年、令和4年の今年は松本清張没後30年だそうで、松本清張原作とうたった映像化作品を多数観るチャンスがありましたので、この機会に未読の原作本と合わせて楽しもうと、
私も清張沼にハマってみる?キャンペーン(キャンペーン?)
を始めました。
今回は『十万分の一の偶然』について。
よろしくお願い致します。
ドラマ「十万分の一の偶然」あらすじとキャスト
私が視聴したドラマ「十万分の一の偶然」は、2012年にテレビ朝日系列で放送されたものでした↓
田村正和主演ということで、そのあたりも楽しみに視聴しましたが、期待通りでした。
高速道路の多重事故により娘明子(中谷美紀)を亡くした父山内正平(田村正和)。事故発生時、現場近くに偶然居合わせたアマチュアカメラマンの山鹿(高嶋政伸)はその様子を写真に撮り、それが「激突」という作品名でその年のニュース写真年間最優秀賞を獲得する。写真評論家の大家で審査委員長の古家(伊東四朗)は、
「これは一万に一つか十万分に一つの偶然」
と評する。
海外にいて娘の事故死を数日間知らなかった正平は、詳細を知りたいと事故について調べるうちに、疑念を持ち始めます。果たしてこれは本当に「十万分の一の偶然」なのか━
キャストは他に、明子が見舞いに尋ねるはずだった、静岡の病院に入院している叔母役に岸本加世子↓ドラマ放送当時ではありませんが、田村正和とのショットを公開してくださっているので。
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明子の婚約者役に小泉孝太郎↓バラエティ番組ご出演時の画像ですが💦
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正平とともに事故に疑念を抱き、調査を進める記者の役に松下由樹、正平と旧知でトリック解明に協力するカメラマン役に若村麻由美↓ショートヘアもよくお似合い💕
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沼津南署の刑事役に内藤剛志、さらに内山理名、金田明夫、モロ師岡、岡まゆみ、渡辺いっけい等々名優そろい踏み!DVD化希望。
ドラマちょっぴりネタバレ感想
私の知っている清張作品には珍しく、タイトルの意味がそのものズバリだったことに軽く驚きました。
清張作品は、タイトルから中身が想像できないものが多く、また読み終わっても、「で、タイトルの意味は?」となるのがどうしてなのかと思ったら、ご多忙であった清張はとにかく次回作のタイトルだけ決めてしまうんだそうです。後でなんとでもなるように、具体的にはせず、だいたいの感じ=イメージでつけておく━そんな話を知って、「だからか!」と膝を打った私です。
さて、2012年のドラマということで、トリックにETCが関わっていたり、昭和の内に書かれた原作には出てこないであろう点が小説を読みたい気持ちに火を点けまして、よし、これを機に映像化作品を観たら原作を読むぞ!と、なった、私の清張沼キャン第一弾作品。
ドラマは最後まで画面にくぎ付けでしたが、ストーリーとしては紛れもなくイヤな話、イヤミスでしたね。
でもこの作品は原作、映像化作品とも、”映え”がもてはやされる今こそ多くの方に知って欲しいと思いました。
小説『十万分の一の偶然』あらすじ
小説『十万分の一の偶然』は、1980年に週刊文春に連載された、松本清張によるクライムミステリー作品。
1981年に単行本化↓
原作冒頭部分は新聞記事の体で始まります。
高速道路で起きた多重事故を撮影した「激突」がA新聞社が主催するニュース写真年間最高賞を受賞した記事、それを批判する投書、それに対する反論━やがて事故死した山内明子の姉山内みよ子が髭の男を伴って、事故現場に花を手向けに現れます。髭の男は山内明子の婚約者沼井正平。新聞記事にあった「前方に赤い火の玉のようなものを見た気がする」という生存者の言葉から事故発生の経緯に疑念を抱き、「激突」撮影者の山鹿恭介に近づいていきます。
『十万分の一の偶然』ドラマとの違い
ドラマでは娘を亡くした父が真相究明する物語ですが、小説では婚約者を亡くした男の復讐劇になっています。
それに伴ってか、ドラマでは原作では出てこないキャラクターが重要な役どころで設定されたりしていました。
また、先述しましたが、事故を起こしたトリックがドラマと原作では違っていました。原作で解明されたトリックはそのままドラマでも早々に解明されるんですが、ドラマでは「風速」が原因でそのトリックが実現不可能ということになり、調査は暗礁に乗り上げます。
ドラマはこのトリック解明に時間がかかり、唯一の目撃者も意識が戻ったタイミングで急死、写真評論家の古家と主人公に因縁がある設定でした。
また、小説では事故の真相を追う正平は大学で働く助手という設定でしたが、ドラマの正平はルポライターということで、モンゴルで取材するシーンから物語が始まります。
原作ではモンゴルは出てこないまでも、大井ふ頭、鹿野山の神野寺のシーンは清張らしい細かな風景描写でいい旅夢気分(あ)
余談ですが、原作に寅脱走事件のことが書かれていて、すっかり忘れていたその事件の事を思い出しました。動物たちのことを思うと辛すぎますが、1979年に起きたこの事件を1980年の連載に取り入れている辺りもTHE松本清張という印象です。
ドラマは山鹿が逮捕される結末でしたが、原作では正平に復讐されてしまいます。
小説『十万分の一の偶然』感想
だいたい松本清張作品は原作の方が断然面白く、ドラマはワンパターンという私の勝手な思い込みがあるのですが、『十万分の一の偶然』に関してはドラマの方が好きです。
小説『十万分の一の偶然』は、謎解きの経緯もカメラに関して知識がないとピンとこない部分もあり、復讐に関しても達成感が得られない(ん?)。
と言うのも、復讐相手である山鹿も古家も詫びることも反省もせず、古家に至っては「ハイ」の状態で死を迎えているので、ますます持って納得いかない、スッキリしない、鬱憤がたまる、憤懣やるかたない気分になる(だからイヤミス)
その点、ドラマでは犯人逮捕で少しは溜飲が下がるというもの。
まあでもドラマでもラストは娘のビデオメッセージが出てくるという、重苦しい気持ちに拍車をかけるものでしたが。
また、本が読みづらかった。
直前に読んでいた新潮文庫の『砂の器』に比べて読み進めるのに大変苦労しました。
文字の大きさは文春文庫の『十万分の一の偶然』も似たようなモノでしたが、行間の余白の差?なのか、とにかく同じ行を何度も読んでしまったり、読み終えるのに時間がかかりました。
余談ですが、新潮文庫は読みやすさに配慮しているらしいです↓
※以上全て敬称略
最後までお読みいただき
ありがとうございました♪
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