【2019年4月10日公開2020年7月更新】
ナゼキニエンタメ!をご覧戴き有難う存じます。
筆者の小幡リアン@nazekiniと申します。
日本のポップカルチャーは馬琴から始まったという説に感動、昭和の映画里見八犬伝を平成の終わりに観ました(笑)
今回は滝沢馬琴について。
ちょいちょい音楽コネタを挟んでいますが、よろしくお願いいたします。
滝沢馬琴とは
学生時代「滝沢」という苗字の同級生は「馬琴」と呼ばれていました。
それほどに、私自身も滝沢馬琴が耳に馴染んでいるのですが、実は正しくないらしいです。
正しくは曲亭馬琴(きょくていばきん)
”滝沢”はご本名が「滝沢興邦(たきざわおきくに)」とのことで。
どーゆーワケだか、ご本名と芸名(芸名?)が混じってしまっているんですね。
でも、〽滝沢馬琴で習った、僕らは昭和の子供さ♪
江戸深川の下級武家に生まれた馬琴は9歳の時に家督を継ぐことになり、松平家に仕えることになったものの、体育会系じゃなかったそうで、14歳で家出、江戸で自分探しの旅を始めます。まさに中二病(違)
医者、占い師、幇間(太鼓持ち)と様々な仕事を転々としていたそう。
(医者ってそんな簡単になれたの?)
馬琴が書き残した日記などから、人付き合いも苦手で、24歳の時には
「人に会わなくてもいい、本が好きな自分に合った仕事はないものか」
と考え「そうだ、物書きになろう」
と、当時大人気だった戯作者 山東京伝をたずね、戯作者として出発、みるみる人気作家になったそう。
41歳の時に書いた『椿説弓張月』も馬琴の代表作のひとつ。
平安時代末期の武将・源為朝が琉球王朝を開いたとする伝奇物語で、挿し絵は葛飾北斎。
原稿料だけで生活できた最初の職業作家と、言われているそうですが、私は十返舎一九も”日本で初めて文筆のみで生計を立てた職業作家”という説明を耳にしまして↓
まあ、ほぼ同時期の作者さん方なので、どっちでもいいか。
超大作『南総里見八犬伝』
そもそもなんで滝沢馬琴かと言うと、NHKの「偉人たちの健康診断」で取り上げられていて面白かったから。
番組開始すぐに流れた、懐かしい映像に感激♪
↑動画が観られます↓
連続人形劇 新八犬伝 | NHK名作選(動画他) https://t.co/Asj2NW0VY6
— 小幡リアン (@nazekini) 2020年2月4日
懐かしい映像とは「連続人形劇 新八犬伝」からの映像~🐶
通してみていた記憶はないのですが、やってるとみちゃう人形劇でした。
まだ、幼稚園とか小学校低学年とかだった私、子供心にはかなりコワかった記憶があります。
話を馬琴に戻して。
つまり、八犬伝こと『南総里見八犬伝』が、曲亭馬琴の代表作というお話なんですが。
この作品、なんと馬琴48歳の時、1814年に連載開始、1842年の完結時には75歳という、実に28年をかけた超大作。
最後の方は、目が見えなくなってしまって、嫁(息子の妻のこと)に物語を口述し、代筆させていたそうです。
古典文学の長編小説としては、最も長い全106冊。
400字詰めの原稿用紙で、およそ6,600枚、って、全くもってピンときませんが。
ちなみに『東海道中膝栗毛』は1802年から1814年の12年かけて書かれたそうです。
馬琴と入れ歯
小説家は甘いものと猫が好きな人が多いイメージ(夏目漱石)
馬琴もスイーツ男子だったそうです。
61歳にしてすべての歯を失った馬琴ですが、虫歯だけでなく、歯周病だったのではないかと、「偉人たちの健康診断」では推理していました。
仕事が忙しすぎたり、睡眠不足が続くと自律神経が乱れ、唾液の分泌量が減ってしまう→ドライマウス→歯周病→歯槽膿漏で歯が抜けた、という推理。
歯が無くなっちゃった馬琴は、入れ歯生活に突入。
当時の入れ歯は、”木床義歯”という木製。
最古のものは室町時代のもので、密着度が優れているのが特徴だそう。
木と上あごの間に唾液(水分)が入って密着する(0気圧になる)仕組みで、この”吸い付く”というのは世界で一番古い発明だそうです。すごいね、ニッポン人!
対して、西洋の入れ歯はバネの反発力で安定させる仕組みなので、常にかみしめている必要があり、気を抜くと入れ歯が飛び出すなどというマンガみたいなこともあったそうです。
ちなみに、当時の入れ歯著名人には、本居宣長や杉田玄白がいるそうです、クス。
そんなスゴイ入れ歯を誰が作っていたかと言えば、仏師。
天然痘とあかねもめん
人嫌いの馬琴でも、自分の孫は別腹特別、とてもかわいがっていたそう。
ところが、ある日、かわいい孫たちが、天然痘にかかってしまいます。
江戸時代、天然痘といえば乳幼児の死亡率の高いおそろしい病気。馬琴は孫のため、当時天然痘によいとされたものを片っ端から揃えてゆきます。
育児について書かれた『小児必要養育草(しょうにひつようそだてぐさ)』に、天然痘対策として
「屏風や着物掛けに赤い衣類を掛け、患者にも赤い衣類を着せ、看病人にもみな赤い衣類を着せる」
という記述があり、馬琴はあかねもめん(=赤い布)を買ってきたり、赤い張り子だるまや、為朝の紅絵、赤飯、赤い落雁と、孫の周りを赤いもので埋め尽くしたそうです。
血液の色は赤、つまり、赤い色には警告信号としての意味があり、赤い色をみることで、体が反応して覚醒水準が上がると考えられるそう。
オーストリアの大学で行われた、赤と青の照明の部屋に人を入れて生体反応を調査した実験では、赤い照明の部屋に入った時から自律神経の交感神経が優位になり、部屋を出て5分後でもその状態が維持されていたという結果が得られています。
交感神経が優位になると、リンパ球の働きがよくなり、免疫が活性化。
つまり、赤いものをみるだけで免疫が活性化。
関連記事はこちら↓
また、目の神経にある、色を識別する”オプシン”というたんぱく質が、皮膚にも存在することから、赤いものを触ることも効果があるのではないかと言われています。
赤パンツ健康法は理にかなっていた?!
ちなみに、赤づくめにした甲斐あって馬琴のお孫さん方はご回復されたそうです、ああよかった。
大人気コミックスと八犬伝
『南総里見八犬伝』ストーリー
時は室町時代。
里見家の娘、伏姫の数珠が八つの玉となり天へと昇ってゆきました━
仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌
不思議な力を持つ玉を持った八犬士が、運命の糸に操られながらやがて里見家に集結、力を合わせて里見家を滅ぼそうとする敵と最後の決戦に挑みます━
ざっくりいうと、冒険ファンタジー。
そういえばあらすじはなんとなく知っているのに、本はおろか、映像化作品もまともに観ていないのではと気づき観てみました↓昭和58年=1983年の映画作品。
アマプラ(Amazonプライムビデオ)でも配信中↓
主演は薬師丸ひろ子、相手役に真田広之。
夏木マリが玉梓役を熱演てか怪演、カッコよかったです。
全体的には、ジャパンアクションクラブのアクション光る大人向けのマンガみたいでした。江戸時代だったらまちがいなく流行ると思いました。
”男女7人シリーズ”や”金妻”でお馴染みの鎌田敏夫が原作↓
日本のポップカルチャーは馬琴からはじまった?!
なんと『南総里見八犬伝』は完全なるフィクションにもかかわらず、「伏姫籠穴(ふせひめろうけつ)」(千葉県南房総市)という「八つの玉が天に上ったと伝わる洞穴」があるそうです。
これって今で言う聖地。
「偉人たちの健康診断」番組内で、出演者カンニング竹山が、
「今で言うところの、たぶん人気のマンガの連載をずーっとしている人のような気がするんですよね。それを毎週僕らは楽しみにしてて。それが30年くらい続いている人もいるじゃないですか」
と仰られましたが、まさにそれ。
八犬士が運命に導かれて集い、力を合わせて強大な敵に立ち向かう━そこに描かれているのは、仲間づくりや成長物語。これってワンピース?
十手、忍術、怪力、弓矢など、八犬士それぞれが得意とする武器や戦術をもっているというのも馬琴が初めて描いた設定。
不思議な力を持つ八つの光る玉というアイテムといい~探そうぜ?ドラゴンボール↓
村雨丸という刀といい↓
マンガやゲームといった現代のポップカルチャーの原点は『南総里見八犬伝』にあり。
こんな動画を見つけました↓ので、貼り付けておきます♪
『ちば見聞録』#003「南総里見八犬伝と里見氏(前編)」(2014.4.19)【チバテレ公式】
『ちば見聞録』#004「南総里見八犬伝と里見氏(後編)」(2014.4.26)【チバテレ公式】
※以上全て敬称略
最後までお読みいただき、
ありがとうございました。
関連記事はこちら↓