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当ブログはドラマファンであるがゆえに細かいところまでナゼかキニなってしまう私のツッコミブログです。
ドラマを愛するがゆえのツッコミであるということを悪しからずご了承ください。
今回はドラマ「老害の人」の感想です。
よろしくお願いいたします。
ドラマ「老害の人」とは
ドラマ「老害の人」とは、2024年5月5日に放送開始したNHKのBSドラマ↓
内館牧子による同タイトルの小説(2022年10月14日発売)を原作とした作品で、”老後小説”ドラマ化第3弾。
ドラマ第1弾「すぐ死ぬんだから」についてはこちら↓
「すぐ死ぬんだから」で主人公を演じた三田佳子は「老害の人」にもご出演。
娘婿に会社を譲り、今後業務には一切口を出さないと宣言したはずの戸山福太郎。しかし、旅行に行っても「一人旅」はつまらないと会社に”出勤”し始めて━
脚本は「深夜食堂」シリーズの真辺克彦、小嶋健作、大島まり菜、音楽は安川午朗(「すぐ死ぬんだから」)
伊東四朗演じる主人公を中心に、コロナ禍の世を生きる家族、若人、老人の群像劇です。
「老害の人」キャストとあらすじ
ボードゲーム製作販売会社の社長・戸山福太郎(伊東四朗)は、妻の通夜の席で娘・明代(夏川結衣)の夫・純市(勝村政信)に社長の座を譲る。しばらくは一人旅などしていたが、突然会社に顔を出し、社員を捕まえてはかつての武勇伝を繰り返す。週に二度会社に現れるようになる頃、世間はコロナ禍に。そして福太郎82歳の誕生会が開かれる。集まった同年代の4人は、病気自慢や趣味自慢、それぞれ自慢老害をまき散らすのだが…
引用元https://www.nhk.jp/p/ts/LP7RXNNW8L/episode/te/G5Q3JG4JL1/
キャストは他に、俳句が趣味の吉田武役に前田吟、吉田武の妻で夫の作品に絵を描くのが趣味の吉田桃子役に日色ともゑ、クリーニング店店主竹下勇三役に小倉蒼蛙(小倉一郎)、死にたいが口癖だけど元気な林春子役に白川和子、その娘里枝役、羽田美智子、福太郎の孫、俊に望月歩、梨子役木龍麻生、福太郎の亡くなった妻八重に田島令子、俊のアルバイト先”松木ファーム”の農園主松木達夫に斉木しげる、その妻美代子役、久世星佳と超豪華。三田佳子のご出演は第2話からです。
「老害の人」第5話ネタバレあらすじ
サキのあとをついてきた和美は倒れ掛かりますが、原因は空腹でした。
屋台のラーメンを食べながら話す二人。和美は節約のために昨日から何も食べていなかったと言います。本末転倒とあきれるサキ。
その後もサキについていこうとする和美。
「ラーメン代おごってもらったので何かお返しをさせてください」
という和美に、じゃあもうついてこないで、と言い踵を返したサキでしたが、和美のパンツの裾がほつれているのをみつけ、結局家まで連れていきます。
サキは公民館の元館長というのはニックネームだったことを和美に明かします。福太郎に渡した名刺は公民館を辞めた時の餞別でした。
なんとなく打ち解けた二人、サキは和美に賃金が欲しくないか、と熟女バーへ誘います。
場面は「とば口」へ
BGM「ざんげの値打ちのない」大村泰之
スーザン(サキ)登場曲「翼なき野郎ども」泉谷しげる
和美は「体験入店のジャクリーン」として紹介されます。
場面はかわり、麻雀店。スマホをチラリと見た里枝は
「ごめん、もう行かないと」
と席を立ちます。母春子を迎えに里枝が訪れた先は喫茶店で、春子と和美、そして福太郎が居ました。
春子は独り身の里枝のことが心配で、同じく独り身の和美に相談していたのでした。
「自分のために生きてください」
と里枝に告げる和美。
俊が姉梨子の家でたこ焼きを返しながら剛の話をしています。剛の悪い仲間とのつきあいを心配する俊に、放っておけばという梨子。
「やっぱ、人間関係にも寿命ってあるのかなあ」
と俊。
公園。
顔に怪我を負った剛が悪い連中に追われています。
隠れて泣きべその剛に
「だめだこりゃ」
と立ち去る連中。泣きじゃくる剛。
場面は福太郎の家。
里枝が明代を訪ねてきたのでした。あの時は言い過ぎたと互いに謝る二人。
「とば口」BGM「黄昏のビギン」高橋真梨子
純市と福太郎が同じ席にいます。
「ホステスを紹介したくて」
と言う純市。
店内のBGMが「眠れない夜」泉谷しげるに変わり、雇われマスターの口上で現れたサキと和美を見て驚く福太郎。
父と祖父に付き添われ松木ファームに現れた剛。
そして「若鮎サロン」ではメンバーにきちんと話をする和美。
戸山家では明代と純市も仲直りした様子。
秋田に帰ることにした和美とラーメンを食べるサキ。
明くる日出発するときに、若鮎サロンの皆で見送りにくるという和美にそういうのは苦手と、その場でお別れするサキ。
それぞれがそれぞれの場所で暮らし、2023年の6月を迎えます。
戸山家では福太郎の誕生日パーティーの準備中。明代と里枝、サキもいます。若鮎サロンのメンバーに加え、寿太郎を連れた梨子夫婦もいます。
夏。
縁側で八重と話す福太郎
「八重が生きているうちにもっと
ありがとうっていうべきだった
感謝を伝えるべきだった
だから今言う
ありがとう
もうすぐそっち行くからな」
明代が「そうめんできたよ」と福太郎を呼びます。
そうめんをすする福太郎、そして縁側の風景でエンディング。
エンディング曲「あなたがいるから」森山良子(1974年発売)
「老害の人」最終話感想
1話から4話でちりばめた伏線を一気に回収した感じの最終回。
場面が飛び飛びで余韻に浸る余裕なく、最後の福太郎が八重にお礼を言うシーンは、正直とってつけたようで、ポカンとしていたらエンディング曲が流れ始め、エンドロールを眺めているうちに、ま、いっか、となったという不思議な感想。
エンディングの曲が毎回違ったことや、バー「とば口」BGMが私の知っているアーティストの知らなかった曲が使われていたところはとても好かったし、今回もキャスティングが素晴らしかったんですが、ちょっと話を広げ過ぎたんじゃないかなとも思いました。
特に、これは前回の感想にも書きましたが、俊の友達剛の件は何のために描かれたのかさっぱりわからず、もしかして「人間関係にも寿命がある」というセリフのために描かれたのかな、と思い当たり、だとしたらかなり無理があるとも思いました。
とはいえ、熟女バー「とば口」は原作にない設定でしたが、一番楽しみました。
スーザンやジャクリーンなんて大女優さんになんてことをと、悪ふざけかと思うほど大笑いしましたし、古株風根岸季衣ヴァネッサの存在感も好かった。松金よねこケイトは可愛らしかったけど、柴田理恵ジェシカはオチとしてはオチきらず、というか、いっそのことワハハ本舗風を吹かせてほしかった!雇われマスター風間杜夫始め、常連客役の不破万作、綾田俊樹と主要キャスト以外も豪華なのもうれしい演出でした。
そういうところで、内容がよくわからなくても楽しかったから、ま、いっか、の感想です。
小説の方が容赦ない?!『老害の人』感想
小説『老害の人』は『すぐ死ぬんだから』同様、字が大きくて読みやすい。
しかし、中盤辺りまでなんだか単調、少し読んでは眠ってしまうというのを繰り返しました。
中盤過ぎ、福太郎がカフェをやると言い出したあたりから、やっと物語が動き出し、俄然面白くなります。
ドラマ同様、何度も緊急事態宣言に開店日を延長させられ、老害メンバーズも”老害返り”を起こしたりしますが、晴れて開店、物語は最高潮!というところで、桃子が亡くなります。これには驚きました。
ここでドラマと原作の相違点を少し挙げます。
ドラマでは、俊がだいぶ前から松木ファームで働くことを考えていたとなっていましたが、原作ではぎりぎりまで進学するつもり、そして駅伝へも参加する夢を持っていました。また消防団にも入っていて、これが物語クライマックスへの伏線になっています。ドラマでは松木ファーム就職後のことは描かれていませんでしたが、小説では俊が先走って失敗したり順調とはいいがたい、そこが好かった。
ドラマでは、梨子を訪ねていった明代が梨子に妊娠と入籍を知らされていましたが、小説では物語の終盤、すでに出産後の孫を見せられるという展開で私はこちらの方が面白く里枝との仲直りへも自然につながっていきました。
ドラマでは独身の里枝でしたが、小説では里枝には子も孫もあり、孫自慢「老害」がもとで里枝と疎遠になった明代が、自分にも孫が出来て里枝の気持ちがわかるようになり、仲直りをするという展開でした。
小説版では一度里枝が先に折れて謝りに来ていて、そのことも明代を素直にさせていますが、明代と里枝が仲違いしたときの明代の心中
「これで里枝とは終わったと思った。別にいい。去りたい人は去らせるのが平和だ」
という文章には、”人間関係の寿命”というのが当てはまる気がしました。
仲直りも、孫自慢はごく近い身内だけ、それ以外は老害と言う里枝にも、そしてそんな里枝の変わりように明代があきれるばかりか、たまの孫自慢に付き合うのは人間の度量とか言い出して(いや思っただけか)、「老害」予備軍となっているのが、皮肉だと感じました。
小説の里枝と明代のやりとりのシーンは読んでいて気分が悪くなりました。
小説は、
「老害は若いヤツらには毒だ。だけど老人には薬なんだよ。な、老害は毒にも薬にも」なってんだ。珍しいよ、こんなの」p351、352より
と、老害は老人にとっては生きている証と書かれています。
あとがきには、老害とそれにうんざりする若年層との活劇のようなものを書きたかったとあります。
自分が老害に遭っておらず、若年層でもないため、世の中それほど対立しているのか実感がわかないだけかもしれませんが、私自身はこの物語を読んでもまだ「老害」にピンとこず、小説やドラマのような口癖の人はいるだろうけれども、その人の性格からくるのではないかと思っています。
実際、私自身、何の役にも立たない人間で、早くしにたいと口には出しませんが思うことはしょっちゅうですので、特にこれが老害、老いたからといって特に感じることでもないのではなかと。
それを踏まえて面白かったのは、人はいずれ死ぬものだと知ったふうな口を叩くのはみんな若い、という文章。一本取られたなという印象(?)
ドキッとしたのは、松木ファームで俊に松木が「ハンパない」だの「バズる」だの使ったら即クビ、誰に対してもきちんとした日本語を使えと言った部分。
”最近はいい大人も「ホントに」を乱用していて頭の悪さ丸出し”とあり、自分だ、と思い当たり失笑。
意外だったのは、ドラマでは秋田まで会いに行ったりした山本和美が、小説では口癖でしかなかったこと。そして老害メンバーは小説の方がワルというかしたたかでした。ドラマは結局全員好い人でしたが、小説の方が現実味を帯びていると感じました。
サキはドラマでも口がたつ人物でしたが、小説での印象深かったサキの言葉は
「特に優しくもしないで、話も聞かないで、後で後悔するって、一番幸せなことだと思うよ。だって、相手がいなくなるなんて思わないから、普通に当たり前に接してるわけでしょ。それは自然の行動よ。心の中で『この人はいつか消える。優しくしよう』なんて思って向かいあう方が、ずっと失礼だよ。後で悔やむつきあいの方こそ、幸せなの」p333より
というものでした。
屁理屈のような気もしつつ、そうなのかな、と、以前私が入院した時、病院側から私の死を覚悟するよう言われた家族が、その時に思ったことを話してくれたのを思い出しました。
※以上全て敬称略
最後までお読みいただき、
ありがとうございました!
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