【2020年2月15日公開2021年4月更新】
当ブログにお運び戴きありがとうございます✨
2020年のアカデミー賞、面白かったですね。
作品賞は予想通り「パラサイト」で、おっしゃー✊となった私、いやまだ映画は拝見していないのですが(笑)
何が「おっしゃー」なのかというと、ハリウッドで韓国映画が作品賞という快挙。
その「パラサイト」の監督ポン・ジュノ作品「殺人の追憶」を拝見したので、その感想を書きます。
よろしくお願いいたします。
「殺人の追憶」とは
「殺人の追憶」とは2003年に韓国で公開されたクライムサスペンス。
原題は「살인의 추억」(殺人の追憶)、2020年アカデミー監督賞、脚本賞を受賞した映画監督봉준호(ポン・ジュノ)による作品。
日本では2003年11月に公開、2019年には舞台化。
1980年代後半に韓国で実際に起こった事件をモデルに描かれたフィクションで、主演は「パラサイト半地下の家族」で半地下で暮らす家族の父親役を演じた、송강호(ソン・ガンホ)。この方、ポン監督と組むことが多いようです。
↓ ↓ ↓
画像引用元ソン・ガンホ - Wikipedia
「殺人の追憶」あらすじとキャスト
1986年、ソウルから50kmほど南の農村、華城(ファソン)で女性の変死体が見つかる。刑事パクは捜査に取り組むが、数日後、近所で別の女性が同じ手口で殺される。パクはソウルから派遣された刑事ソ・テユンとコンビを組まされるが、荒っぽい捜査のパクと理知的なソは正反対の性格で最初は対立。捜査陣が悪戦苦闘する中、第3・第4の事件が起き、パクとソは力を合わせだすが、彼らをあざ笑うかのように第5・第6の事件が。
刑事パク役ソン・ガンホがコンビを組まされる”ソ・テユン”役、김상경(キム・サンギョン)向かって右側↓
パク刑事の部下?元相棒”チョ・ヨング”に김뢰하(キム・レハ)↓
画像引用元https://en.wikipedia.org/wiki/Kim_Roi-ha
キム・レハは、2019年日本でもリメイクされた韓国ドラマ「ボイス~112の奇跡」で”カチカチ野郎”(日本版では手塚とおるが演じられた役)を演じておられました。
「殺人の追憶」でキム・レハ演じられたチョ刑事は飛び蹴りばっかするんです。
でもそのご自慢の?足にケガを負って破傷風になってしまうという、何とも皮肉な展開💦
パク刑事の妻となる元看護婦の”カク・ソリョン”役に전미선(チョン・ミソン)↓
画像引用元https://en.wikipedia.org/wiki/Jeon_Mi-seon
この方も韓流好きにはお馴染みの俳優さんだと思います。
結構好きだったのに2019年に亡くなられてしまいました。
残念です。
最初の容疑者として追われる"ペク・グァンホ"役に박노식(パク・ノシク)↓
画像引用元https://star.mt.co.kr/stview.php?no=2006121011374698788
この方もたくさんの韓流作品にご出演されています。
容疑者に浮上する”パク・ヒョンギュ”役に박해일(パク・ヘイル)
ポン・ジュノ組なんでしょうか、主要キャストは「グエムル‐漢江の怪物‐」にもご出演されている俳優さんが多いですね。
↓ ↓ ↓
英語字幕ですが「殺人の追憶」予告編。
↓ ↓ ↓
パク刑事とチョ刑事は、容疑者として捕らえた、知的障害を持つ青年クァンホを荒々しい方法で自白に導きますが、ソウル市警からやってきたソ・テユン刑事はクァンホを冷静に観察、犯人像と照らし合わせ、犯人たり得ないことを指摘、クァンホを釈放させます。
そんな中、事件のあった日にラジオで必ずリクエストされる曲があることに気づいた女性警官の情報をもとに、リクエストはがきを送ったパク・ヒョンギュが容疑者として浮かび上がります。
ソ刑事のプロファイリングに当てはまるパク・ソンギュですが、証拠がなく釈放せざるを得ません。ようやく発見された犯人のDNAも、当時の韓国警察の技術では鑑定ができないことからアメリカに鑑定を依頼することに。その間にも事件が起きてしまい、ソ刑事にも焦りの色が出始めます。
ある日、ソ刑事はパク刑事とのやりとりの中で、釈放したクァンホが、事件の目撃者である可能性に気づき、パク刑事と共にクァンホを探し始めます。
しかし、再び捕まると勘違いしたクァンホは逃走し━
「殺人の追憶」ネタバレ感想
「殺人の追憶」実は何か月か前にAmazonプライムビデオで見つけていて、以前から拝見したかったこともあり、これはと思っていたのですが、韓流クライムサスペンスはホラー映画並みに怖い。
一人では観る勇気が出ずw観たいけど、怖いしな~などとグズグズしていたらプライム特典から外れてしまいまして。
そうなると、俄然観たくなるのも人情で、レンタルビデオで借りてもらって拝見したという経緯です。
物語は、1986年の韓国・華城の農村地帯、日本の昭和を思わせる田園風景から始まります。
美しい田園地帯を駆け回り、一台の荷車を追いかける子供たち。
荷台に乗っていた男性が、下りるとさらに追ってくる子供に「あっちへ行け」と言い、用水路の中を覗きます。
男性は地元警察のパク・トゥマン刑事(ソン・ガンホ)。
そして、カメラは彼がのぞき込んだ先を映し出します。
そこには手足を束縛された女性と、その体を這うアリの行列が━
美しくのどかな風景から一転するこの冒頭、一気に引き込まれました。
しかしながらこれがひどい話で、実際の事件も”韓国史上最悪の事件”とされているそうですが、色々な悪条件が重なり過ぎでしょう、という感想。
作品にも鳴り響くサイレンのもと、照明が消されるシーンが描かれていますが、1986年の韓国は軍事政権で灯火管制がしかれていました。
これにより、夜間の犯行が増加。
またデモの鎮静化に警察の人員が割かれ、犯罪捜査がなかなか進まなかったという背景もあります。
それが原因なのかなんなのか、捜査方法がむちゃくちゃやねん。
容疑者は皆ほとんど拷問に近い方法で自白を強要されるワ、証拠はでっち上げるワ、事件現場の保存もずさんで、犯人のものと思われる足跡も耕運機で踏みつぶされちゃうし、事件の日に必ずあるというリクエストはがきも証拠として押さえるはずが、燃やされちゃってるし。
昨今の科学捜査バリバリのクライムサスペンスからは想像もできない世界です。
そしてやっぱりホラー映画なみに怖かった😱
真っ暗な田んぼ道を歩いていた女性が、何やら気配を感じて逃げようと走り出します。しきりに後ろを気にしていた女性が、前を振り返った瞬間、犯人が田んぼを這いあがって現れるシーンなんか、超怖い。
犯人に連れ去られるシーンはもう一回出てくるんですが、そっちは泣きたいくらいコワかった😱
というのも、伏線が効いておりまして。
ソ刑事は女子中学生から聞いた「犯人は学校のトイレに住んでいる」という話を詳しく聴くため、女生徒に会いに行きます。
その生徒は避難訓練中にけがをしてしまい、ソ刑事が絆創膏を貼ってあげるシーンがありました。これ、伏線。
映画終盤、潜んでいる犯人が2人の女性を選ぶように見ているようなシーンがあります。2人の内、1人はパク刑事の恋人ソリョン、もう一人は女子中学生で、あれ?もしかして?と思った次の瞬間、この女生徒が画面横にあっという間に連れ去られてしまうんです。
遺体となって発見された彼女には、ソ刑事が貼ってあげた絆創膏が━
なにこのひどすぎる展開。
おまけにDNA鑑定の結果は容疑者と一致せず。
「殺人の追憶」公開当時の2003年、モデルとなった実際の事件の犯人はまだ捕まっておらず、その点から映画の中でも事件は未解決のまま物語が終わることは想定内でしたが、結局、パク刑事は転職しちゃって、家庭を持って、フツーのお父さんしちゃってるという、何ともスッキリしない収束の仕方を見せます。
まあ、そのスッキリしない感から、早く犯人が捕まって欲しいという思いが強くなるので、社会への影響力が大きかったんじゃないかという感想も持ちました。
ちなみに、この作品のモチーフとなった”華城連続殺人事件”の犯人は2019年9月に特定されたそうです。
映画は、2003年のパク元刑事が、80年代年当時の事件を思い出すかのように最初の現場━冒頭に映った用水路を見に来るシーンでラストを迎えます。
用水路をのぞき込むパク元刑事に1人の少女が話しかけます。
彼女は、前にも同じようにしていた人物を見かけたと言い、そして、その人物が”昔自分がここでしたことを思い出して、久しぶりにここに来てみた”と言っていたと話します。
そのおじさんの顔、見た?と少女に尋ねるパク。
「どんな顔だ?」
「そうだなあ、よくある顔」
「例えば?」
「やっぱり……、普通の顔よ」
ソ・ガンホのドアップから暗転、エンドロール。
と、シリアスな面ばかり書いてしまいましたが、そこはポン・ジュノ作品、全編通してすっとぼけたような人物の描き方で笑いを誘い、重い一方ではありません。
だから余計に刺さるのかな。
(以上、2021年5月加筆修正しました)
さて、まだ全部は拝見できていないのですが、ポン・ジュノ監督作品の「グエムルー漢江の怪物ー」↓
「母なる証明」↓
この2作品もチラリと観たところ、映像がきれいです。
雨が川に降り注ぐ場面とか、草原で女性が踊るシーンとか、かなり鮮明で美しいので、そこから考えると、「殺人の追憶」は、映像も80年代ぽいというか。
「グエムル~」も、ポン・ジュノ監督が実際の事件にヒントを得て作られたそう(だからポン監督は社会派っていわれてるのかな?)なので、続きを観るのが楽しみです。
が、一人で観るのは怖いw
※以上全て敬称略
最後までお読みいただき、
ありがとうございました🍀
関連記事はこちら↓